美しき野獣

 「悲しき恋歌」を観たせいか、

優しげで繊細そうなクォン・サンウを想像していたら、

日焼けした顔、ボサボサ頭、無精髭、汚い服にびっくり。

悪役かと思ったら、破天荒な刑事役でした。


美肌で有名なクォン・サンウですが、

その彼が浅黒い肌・・・。

イメチェンしすぎぃ。

前髪が長ーい。毛が多ーい。もっさりもっさり。

この流れで青春漫画で

おかっぱ(韓国ではおたまカットというらしい)になったのかしら。

ルックスには松田優作テイストもちょっと入ってるのかもしれません。


クォン・サンウの相棒役の検事にユ・ジテ。

関口宏もびっくりの、もうすっごい7:3分け。

絵に描いたようなエリート。わかりやすくてよろしい。

頭がよくて冷静で、仕事のパートナーにはうってつけですが、

奥さんには離婚されちゃうんだな。

ヤクザの親分(日焼けサロン行き過ぎ)はニッコリ笑って

やる事はエゲツなくて迫力満点。

脇役がひとくせもふたくせもあり、見応えがあります。

「牛舎で決闘、ウンコで目つぶし攻撃」とかあって、

笑っていいのか微妙なシーンもありました。

チャン刑事(クォン・サンウ)の家族構成は複雑。

病気の母親、身の回りの世話をしてくれる親戚の女の子、

そして異父兄弟は犯罪者で悲運な死を遂げます。

ここまで不幸が重なるか、という気もするが、

わざとらしくなく、自然に入り込めます。

母が危篤になった時、

親戚の女の子に結婚を申し込もうとするチャン刑事。

母を安心させたかったからか、自分が帰る場所が欲しかったからか?


「私の事を愛しているというの?」

「愛なんて知らない。お前の飯はうまいし、気をつかわないから」


彼女はふくれてしまいます。

見た目は汚れて「野獣」ですが、

「美しき」心を持って、不器用な男なんだな、と思える印象深いシーンでした。