マイ・ブロークン・マリコ
あらすじ
ある日、シイノトモヨ(永野芽郁)の親友のマリコ(奈緒)がマンションから転落死した。彼女の死を受け入れられないまま茫然自失のシイノだったが、彼女の実家に乗り込み、遺骨を奪って逃走。幼い頃から父親や恋人に暴力を振るわれ、人生を奪われ続けた親友に自分ができることはないのか…。シイノは、学生時代にマリコが行きたがっていた海へと彼女の遺骨を連れて旅行へ出かける。「マイ・ブロークン・マリコ」
永野芽郁
永野芽郁は、いつも優しい表情で、ほんわかとした雰囲気をまとっている。本作ではガニ股でタバコをふかし、「クソ上司」と乱暴な言葉を吐き、包丁を振り回しているにもかかわらず、それでもまだ可愛いという驚異の女優だ。
美人で可愛い女優がヤンキー役をすると「こっちが地だな」と思うものだが、永野芽郁は不思議なことに、どれだけガサツなセリフを言っても自然にこなすし、それでいて見ている人を嫌な気分にさせない。
少女時代のマリコ
幼少時から父親に暴力を振るわれていた不幸なマリコ。心を許せる相手は友人のシイちゃんしかいなかった。
マリコ「シイちゃんに彼氏が出来たりしたら死んでやる」
鬼の形相でカッターナイフを腕に押し当てる。
ちょっと怖い...。
そんなマリコは、彼氏ができたら友達より彼氏を優先するようになる。
友達として、それどうなん?
トモヨのほうは彼女を敬遠するどころか、心配でなんだかんだと世話をやいている。
大人になったマリコ
幼少時から家庭には恵まれなかったが、大人マリコはヒドイ男とばかり付き合う。マリコは一人暮らしをして暴力父親の手からは逃げきった。
暴力彼氏にアザだらけにされた時は、親友トモヨが助けた。
殴られてもまた男に会いに行く弱いマリコ。
可愛いのにイライラする女だな!
トモヨはマリコをいつも気にかけていたのに、彼女が転落死(自殺と思われる)したのがどうも腑に落ちない。
死んだマリコにトモヨが出来ること
トモヨはマリコの実家のマンションへ行き、骨壷を奪って窓から脱走。いや、1階の部屋とはいえ、窓から飛ぶ!?
そのまま川に飛び込み、裸足で骨壷を持ち帰る。
骨壷って陶器だから、この時点で粉々になってそうな気がする。
骨壷を持って小旅行
関東の骨壷はデカイ。七寸だから21cmくらいか。
関西は二寸~五寸(6cm〜15cm)。
旅行に持って行くには七寸壺はかさばるね。
普通、旅行に持って行くものじゃないけど。
旅先で牛丼2個注文して、1つは丼に箸ぶっさして、
最後はちゃんと2個完食して出て行く。
見かけによらず大食いなトモヨちゃん素敵。
旅行中に全財産失う
海を見に行くために山道を歩いてるとバッグをひったくられる。こんな山道で、骨壷抱いた変な女から泥棒するやついる?
トモヨは骨壷を置いて走ってバイクを追いかける。
大事な友達のお骨、結構雑に扱うよね。
そこに偶然通りかかった釣り人がお金をくれる。
そんな都合よく親切な人現れる?
っていう出来すぎたお話だけど、
もらったお金は酒代に消えて、宿に泊まれなくなるというトモヨが豪快すぎておもしろい。
海が見える丘の上に立つ
トモヨがお骨相手に一人でしゃべって泣きわめく。突発的に海に飛びこもうとして、昨日会った釣り人に止められたりする。
そこで、ひったくり痴漢男(と思われる)と再会し、
骨壷で殴りかかる。
大事な友達のお骨を武器にすな!
骨壷ごとバラバラになってしまい、結果的に散骨になってしまった。
砂浜への散骨は不法投棄という気もするが。
釣り人と駅で別れる
海で出会った釣り人、帰りの電車賃と弁当を持たせて、静かにこう話す。「もういない人に会うには
自分が生きてるしか、ないんじゃないでしょうか」
これ、仏教のお坊さんのお話に似ている。
お盆でなくても、生きている人が故人のことを思った時、故人はそばに寄り添う。
亡くなってもその人との繋がりは続く。
思うことが供養になる。
この釣り人も、何か辛い別れをした人なのかな。
ガサツなトモヨと、静かな釣り人が対照的。
しんみりした雰囲気の中、電車に乗るや否やオッサンのように弁当を食べ出すトモヨ。
映画の内容は重苦しいが、泣かそう泣かそうとしないのが良い。
そして家に帰ったトモヨがつぶやく。
「恥ずかしながら帰ってまいりました」
横井庄一か!
やはり昭和のオッサンだった。
ラブレター・フロム・マリコ
最後、玄関に紙袋がかけてあり、差出人はマリコの継母だった。マリコ宅を訪れた時、窓から逃げたため靴を忘れていた。
こんなマトモな人が、あの暴力父親と再婚していることが怖いが、普通に見える人でも何らかの闇を抱えているのかな。
継母が意外と良い人っていう珍しいパターン。
中にマリコからの手紙が入っており、それを読む。
うーん。
マリコはなぜ死を選んだのか?
手紙が遺書なのかは分からず、視聴者に想像させる形で終わった。
トモヨの勤務先が、ブラック会社のような描写があるけど一体何を売っている会社なのか一切分からなかった。
これが一番のホラーかもしれない。
全員不幸だし、誰の立場になっても胸が痛くなる。
永野芽郁ちゃんじゃなければ寒すぎて見れなかったと思う。
亡くなってから骨に語りかけるより、生きてるうちに、いろんなところ行って、美味しいものたくさん食べたかったね。
死んだら意味ないんやでーー!
残された者は、何もしてあげられないんだぞ。
Theピーズ
エンディングテーマで、死ぬほど懐かしいバンドを見た。Theピーズ。
2003年リリースの「生きのばし」を2022年の映画のテーマソングに持ってくる?
カステラのボーカルの双子ということで記憶に残っている。
双子だからやっぱり声が似てるな。
平成前期も不景気だったけど、今の閉塞感とは違う、崩壊に向かう疾走感と乾いた明るさがあった。
おもしろい選曲だと思う。
「マイ・ブロークン・マリコ」
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