花くらべ狸道中

あらすじ

時代劇ミュージカル。タヌキの国の大王選挙で、江戸の文福党と阿波の徳島党が激突。雷吉狸と新助狸の珍道中。


キャスト
市川雷蔵
勝新太郎
中田康子
若尾文子

大映スター、市川雷蔵&勝新太郎どちらか主役というパターンは数あれど、
2人同時に出ているのは激レア!?


学芸会みたいなステージ、紙でできたお月様、
安っぽいセットでも、一流俳優が演じると、
これもアリなのかと思わせてしまう。
100人以上どわーーっと押し寄せる阿波踊り連が圧巻。
顔が写ってなくても、きっちり踊ってます。


酒と女に目がない勝新たぬき

勝新たぬきは、お酒を飲むと
モフモフしっぽが現れます。
雷蔵たぬきは、なぜかうどんが苦手。
かわいすぎる二人。

「ハロ~」とナンパしたり、
「女にはスペシャル弱いんだよ~」
時代劇だかなんだかわからない勝新。

突然始まるショータイム

旅の途中で、いきなり歌手が出てきて歌い出すショータイム。
キャバレーのショーのような(見たことないけど)、
豪華な絶妙なパフォーマンス。
公開当時は斬新だったのかもしれないけど、
レトロ感満載の衣装やセットが楽しいです。
踊り子の人数も多く、画面の隅から隅までお祭り騒ぎ。

勝新太郎は長唄三味線方の息子、
市川雷蔵は元歌舞伎役者、
踊りは天下一品。
はしゃいで適当に踊ってるようなシーンでも
軽やかで美しい。

当時の若い人にも受けるように、
カジュアルに作られたのだと思うけど
カジュアル通り越して、おかしな方向に行ってしまってる。

マジシャンなみのタヌキの妖術

狸の妖術で瞬間移動したり、
テレパシーで思考を読み取ったり、
カラのどんぶりに酒が湧いてきたり、
ベタすぎる展開だが、CGなしでも十分面白い。

大真面目にバカをやる

正統派時代劇が好きな人には
バカバカしいかもしれない。
でも、真剣にバカをやっているのでもう芸術の域。
雷蔵だから許される、
見てるこちらが恥ずかしいキザなセリフとか、
おどける勝新のお茶目な仕草とか、
中田康子の変な衣装のダンスとか、
若尾文子のぶりっ子タヌキとか、
みんな魅力的。

「花くらべ狸道中」は、
つらいシチュエーションが全くなく、
場面の切り替えで、突然歌と踊りが出てくるが、
ふざけているわけではなく、
きっちりと踊っているので安心して観れる。

今、1時間以上このテンションで
喜劇をやりきる役者は思い浮かばない。
いろんな意味で贅沢な映画だった。