「男はつらいよ」は、
とてもたくさんのシリーズが作られています。

 

第1作 昭和44年8月

 ↓

第48作 平成7年12月 ←渥美清最後の出演

第49作 平成9年11月 ←満男の回想と総集編

第50作 2020年 男はつらいよ お帰り寅さん


50作もあると、映画に詳しくなくても、
日本人ならタイトルくらいは聞いたことがあるでしょう。
時々テレビで放映されていたのは知っていたが
ちゃんと観たのは初めて。

男はつらいよのメインキャスト

和菓子屋のおじちゃんおばちゃん、
甥の寅次郎、姪のさくら、さくらの夫、息子の満男。
となりのタコ社長、街の人々、舎弟など。

ストーリー

毎回美人ゲストが出てきて人助けしたり、フラれたりする

寅さんの魅力

早とちり
鈍感さ
ドジ
紳士
優しさ
お金はなくても気前が良い(気持ちだけ) 

「男はつらいよ お帰り寅さん」では、
寅さんに関して、ストーリー上では生死に関する話題はない。
おじちゃんおばちゃんは遺影になっている。
寅さんはCGで亡霊のように出てきますが、満男の願望だろう。
冒頭のテーマソングは、毎回渥美清さんが歌っていたが、
49作だけは八代亜紀さんが歌っていた
演歌歌手だし、雰囲気が合っていた。
50作ではなぜか桑田佳祐が歌っていたが、全然合わない。
オープニングが残念すぎる。

本作は、寅さんの甥の満男(吉岡秀隆)がメイン。
42作あたりから満男のエピソードが増えているのは、
渥美清さんの体調の関係。

満男は大学を卒業し、靴メーカーに就職し、
営業マンとして働いていた。
ガールフレンド(後藤久美子)をおっかけて
会社を無断欠勤したり、
破天荒なところもあったが、
「お帰り寅さん」では40代半ばになり、
かけだしの小説家になっていた。

久しぶりに柴又に法事に帰るが、
娘(桜田ひより)の幼馴染が
ブルース・リーにかぶれた変な少年とか、
デリカシーのない美保純とか、
周りの人の「細かすぎるネタ」が楽しい。

満男はおじさんになって、
寅さんの年齢をとうに越してしまったのに、
話し方は甘えた少年のまま。

中学生の娘との会話が何度か出てくるけど、
パパっぽさがなかった。

若い頃は頼りなくて不器用な満男でよかったけど、
いまだにあのキャラなのは痛い。

満男は、妻を亡くして娘を育てているパパにしては頼りない。
法事にきてくれた義父に対する態度も、やや子供っぽい。

再会したガールフレンド(後藤久美子)は、
しっかり彼女は大人になっている。
ゴクミの演技力は昔からずっと棒読みなので
彼女はあの芸風で良い。

あの頼りなさなら、脱サラした小説家じゃなくて、
冴えないサラリーマンのほうが合ってる。

優しそうな垂れ目の満男が、なぜかプチ整形疑惑で、
ギラギラした垂れ目になってたのも違和感があった。

満男の両親(倍賞千恵子と前田吟)も
すっかり年老いたけど、若い時の映像が交互に出てくる。

一家族の約50年の軌跡を見ているようで、
なかなか感慨深いものもあった。
そして寅さんと一番親しかった女性、
リリーさん(浅丘ルリ子)と再会する。
リリーさんと再会した喫茶店が、暗すぎてびっくり。
ルリ子の都合だな?と思ったけど
「一緒に暮らしたこともあるのよ」
と、懐かしそうに寅さんの話をするリリーさんが見れてよかった。
48作で寅さんとリリーさんは、タクシーに乗って出かけたけど、
二人はその後どうなったのかわからない。
謎は謎のまま50作目で完結となる。

下町の「古き良き家族の姿」は失われてしまったが
過去の「男はつらいよ」を観ると、懐かしい気持ちになれた。
50作目の「お帰り寅さん」は2020年の映画である。
そこに昭和感を出すのは、やはり無理があった。
非現実さが浮き彫りになってしまった。

寅さんは、生涯所帯を持たずフラフラしていたが、
寅さんなりに気遣いができる大人だった。
満男は少年のまま大人になったような男で、
これも寅さんと対照的。
寅さんの血筋をひいているはずなのに、
仕上がりが全然違う。

満男の長いひとりごとは、若干うざい時もあるけれど、
初期のゲストや、さくらやヒロシが、元気にしているといいな、
と勝手に親戚気分になっていた。

もう続編はいいけれど、
全国民の親戚のおじちゃんおばちゃんとして、
柴又でゆっくりと生き続けてほしい。

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