あらすじ

大工として働く59歳のダニエル・ブレイクは、心臓の病を患い医者から仕事を止められる。国の援助を受けようとするが、複雑な制度が立ちふさがり必要な援助を受けることが出来ない。悪戦苦闘するダニエルだったが、シングルマザーのケイティと二人の子供の家族を助けたことから、交流が生まれる。しかし、厳しい現実が彼らを次第に追いつめていく。

 

病気で仕事はできないが、

失業保険をもらうために仕方なく面接を受ける。

即採用されるが、

病気で働けないとうちあけると、ボロクソ言われる。


職探しをするには、パソコンで検索しなければならない。

使い方がわからないダニエルは四苦八苦するが、

ダニエルをとりまく若者達は当たり前の行為として、

さりげなく助けてくれる。


日本のハローワークもパソコンがずらりと置いてあるが、

案内員は丁寧に教えてくれるし、

いまでも紙の書類は大量に扱う。

人員配置は、民間企業に比べると過剰なほどだ。


以前、窓口の職員が高齢で、

「キーボードでアンダーバーが打てない」という理由で

人を呼びに行って10分ほど待たされるという事例があった。

このような人に安定した収入があって、

私は会社が倒産して無職だ。

日本のお役所は簡単にお金は出さないが、

システムは「できない人に合わせる」構造になっている。

その点では、低賃金でも構わない人や高齢者には優しいが、

「上を目指す人」の後押しは難しい。


59才のダニエルは大工の腕を持ちながら、

病気のせいで働けない。

シングルマザーのケイティは、

仕事も食べ物もなく苦しい日々を送る。

無料で食料が配られる「フードバンク」を教えられ、
ケイティはそこで
空腹のあまり、缶詰を手づかみで食べて
泣き出してしまう。

日本にもダニエルやケイティのような人は大勢いる。
「日本は恵まれた国で、
誰でも大学に行けて就職できて...」
と言う人は、恵まれた環境に生まれた人の発想である。


ダニエルが役所への批判を込めて壁に落書きをした時、
民衆は喝采を送った。
 
自分は善良な市民を装いつつ、
他人で鬱憤をはらすところが、なんともずるい。

人を頼れず爆発してしまうダニエルも、
喝采を送る民衆も、日本人と重なる部分がある。

この映画は、
考えさせられるけど、胸糞映画の部類に入る。
役所の手続きを簡素化する、
困っている全ての人に給付金を出す、など
政治家でさえ実現できないことを
市民レベルであーだこーだ考えても無意味だと思える。

ただ、困っている人に目を向けることは
誰でも明日からでもできるし、
お金もかからない。

日本では、
道で人が倒れていても、事故が起きても、
平然と写真を撮る。
今恵まれていても、
明日自分が弱者になるかも、という想像力は欠けている。
これが資本主義か?

商売をする上でも、
その先に必ず「人」がいる。
オンラインの先にお金だけ見るような人間にはならないよう
気をつけたいものである。