あらすじ

「人斬り抜刀斎」の通り名を持つ、緋村剣心(佐藤健)。
武田観柳(香川照之)に囲われて、阿片作りをする女医の高荷恵(蒼井優)。神谷道場、師範代の神谷薫(武井咲)。観柳の手下達が道場乗っ取りにきて、薫がピンチになったところを剣心が助ける。道場周辺の市民が急病で、道場に多数運ばれるが、恵は、井戸水に毒が入っていたことに気づき、献身的に手当てをする。そして恵は観柳の元に戻る。剣心と喧嘩屋・相楽左之助(青木崇高)は、観柳の屋敷に乗り込み、恵を救出。恵の口から刃衛(吉川晃司)が薫を拉致したことを知り、剣心と刃衛は対決する。

レビュー

佐藤健さんが好きすぎて辛口レビューになっております。
随分前に見て、ひさしぶりに視聴。
初回は派手なアクションにただ圧倒されていたが、よくよく見ると、話がおかしい。
2021年から昭和の大映作品を多数観たせいで時代劇の先入観ありますがご勘弁を。

時代劇で暴力シーンはつきものです。
でも、ヤクザの抗争、世継ぎ争い、命を狙われるお尋ね者など、暴力にはれっきとした理由があります。

女や子供を相手に大勢で押しかけたり、家に土足で上がって暴れるなど言語道断。
悪党には悪党の暗黙の了解がある。
井戸に毒を入れられたのは何故?
女医の恵を連れ戻すため?
それなら、ヒモで縛って袋に入れて
「えっさほいさ」ですよ。
なんで、そんな遠回りないやがらせする?

それほど親しくない恵を助けるために、剣心と左之助は屋敷に乗り込んで2人対200人で大暴れ。

ドリフト走りとか、アクロバット戦法が多くて楽しいけど、人数おかしいでしょ。
観柳が
「剣心を倒した者に褒美じゃ〜〜!」
と金をばらまくけど、そんなにまいたら、気が散って戦えないし、不届き者がコッソリ拾って帰りそう。

香川照之がアク強すぎて、なにやっても面白くなっちゃうの卑怯でしょ。

後で恵から、薫の身に危険が及んでいることを聞き、剣心は助けに行く。
そもそも恵は観柳の屋敷にいたのになぜ知ってる?
そこ深く考えちゃだめなの?

どのシーンも派手で見応えがあるが、行動の動機が浅い。
いつのまにか左之助と仲間になっているが、剣客同士、通じる物があったようには見えなかった。

佐藤健の殺陣シーンは見事で、私が絶賛する勝新太郎にもひけをとらない。

「○○でござる」というセリフ、いかにも侍っぽく腹から声を出せばもっと良かったが、明るく言うので、お芝居が下手な人に見えた。

明るい「ござる」が似合うのは、忍者ハットリ君だけでござるよニンニン。

私「座頭市血笑旅」が好きなんだけど、冒頭で出会った坊主と、ラストまでに合計3回会うんだけど、毎回違う会話をして、最後は無言ですれ違う。

そのすれ違って通り過ぎるシーンにも、ちゃんと意味を持たせているんです。

江口洋介に、雨の中、剣を突きつけられ、肩をちょっと切られるシーンがあった。
ただのいちゃもん。

ラストの観柳の屋敷では江口が協力してくれるんだけど、どさくさにまぎれて和解してんじゃないよ。

剣心は困った人に出会ったら助けるが、相手の行く末を心配するでもなく、長居するつもりもなく「眠狂四郎」のような孤独な一匹狼でもなく、なに考えてるかわからない人。

個人的には佐藤健さん好きだし、殺陣がかっこいいので、この人で良かったと思うけど、演出はこれでええんかな?とモヤモヤが残った。