衹園囃子
あらすじ
祇園の芸妓・美代春(木暮実千代)の元に、母を亡くしたばかりの少女(若尾文子)が舞妓志願に訪れ、美代春は彼女を仕込む。一年間の舞妓修行を経て、美代栄としてデビュー。美代栄は強引に迫る客の楠田を拒み、美代春と美代栄はお茶屋への出入りを止められる。キャスト
木暮実千代
若尾文子
河津清三郎
浪花千栄子
ほか
1953年作(昭和28年)の映画で、白黒で画質が荒いですが、内容は新鮮で深みがありました。
初々しい若尾文子がかわいすぎる。座っているだけで色っぽい木暮実千代。芸妓が綺麗なお着物を着て、静かに歩くのではなく、下駄の音を鳴らして、結構高速で小走りします。アスリートか。
美代栄(若尾文子)が初めてのお座敷で泥酔するお芝居で爆笑!
あっちへフラフラ、こっちへフラフラ、宿に帰ってきた時はタコ人間のようにぐにゃぐにゃで、頭のかんざしを乱暴に抜いて投げ、着付けをしてくれる人に体を支えられながら、帯を解かれる。全身に力が入らないって、こういうことね。
時代劇では、女性が弱く描かれることが多いです。理不尽に暴力を振るわれたり、人身売買されたり。
美代栄はお花の教室で、先生に、「基本的人権とは!」と質問攻めにして困らせます。
周りのお姉さん達に「そんなことは弁護士にききなさい」と怒られます。
昭和60年頃の映画のほうが、
女性の扱いがひどかったりセクハラが多い気がします。
ある日、常連客の商談のため東京旅行に招待されます。何も知らない美代栄は、汽車の中でサンドイッチを食べ、ルンルン気分。
商談のために夜のお供をしろと強引に迫られ、美代栄は拒みます。可愛く拒むなんてもんじゃなくて、口に噛み付くというプロレス技をかまします。
専務さん、顔面が軽くホラー。大怪我すぎる...!
東京から帰ると、全治1ヶ月で口に包帯ぐるぐる巻きで入院する専務。
専務に恥をかかせたので、お茶屋に仕事を回してもらえなくなります。
お茶屋とは、芸妓の予約管理をしたり座敷を貸したりするところです。
お茶屋の女将(浪花千栄子)、ハッキリとは言わないけど超冷たい。
めちゃこわい。
浪花千栄子は、朝の連続ドラマ「おちょやん」のモデルとなった方です。
美代春(木暮実千代)は、専務の仕事仲間のキモイ青年に気に入られています。
なんだろう、こいつ絶対モテないなという感じしかしない。
以前のようにまたお仕事を回してもらうには、夜、美代春がキモイ青年の部屋を訪ねるように言われ美代春はしぶしぶ出かけて行き、まるくおさまって翌朝帰ってくるというお話。
噛み付く娘と、しぶしぶ受け入れる姐さんの対比がシュール。芸妓システムは、姐さんが下の子を教育するだけでなく、着物の代金も払う。
本当の妹のように思っていたからこそ、嫌なことにも目をつぶる。
姐さんの強さに男気を見た。
現代では、こういった男女格差や職業貴賎の考えは改めるべきだが、大事な人を守るために腹をくくれるか、という、考えさせられるテーマだった。
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