座頭市千両首
あらすじ
市は三年前、心ならずも斬った男の墓参に上州の板倉村を訪れる。村民が代官に差し出す上納金をやっとの思いで捻出するが、その運搬途中に強奪される。国定忠治に疑いがかかり、市もその仲間と思われてしまう。ぬれぎぬを晴らすために、市は山に立てこもる忠治一家に会いに行く。現代の上納金(じょうのうきん)は、飲食店や小売店などが出店する地域の暴力団に払う「みかじめ料」「用心棒代」「場所代」ともいわれ、非公式のシステムですが、江戸時代の上納金は、税金の一種です。
大河ドラマ「青天を衝け」で、渋沢栄一が幕府に御用金500両を払うよう命ぜられ「承服できん(納得いかない)!」とブチ切れていましたが、古い映画では、農民が幕府に歯向かう描写はあまり見られません。あっても、すぐ取り押さえられます。
21世紀は「支配者に楯突き、ハイ論破」みたいなのがウケるのかもしれませんが「座頭市千両首」は凶作続きで、村民がやっとのことで上納金を捻出し、酒盛りして太鼓を打ち鳴らし、みんな大喜び。
ワンシーンにすぎない祭りのシーンでも、明るいお囃子で、楽しさが伝わってきて、晴れ晴れとした表情で千両を納めに行きます。
荷物を馬にくくりつけ「上納金」って看板までつけて、「ここにお金がありますよ」ってバレバレすぎる風貌で出発。もっと静かに運ばんかい。
案の定、盗賊に襲われ、驚いた馬が千両箱を落とし、崖の下にコロコロ。
転がった先に座頭市がいてそこに腰掛けている。
追いかけてきた盗賊を、座ったままバッサリ。
後で、市は「目が見えないので千両箱に座ってるとは思わなかった」と言っているが、いや〜どうかな〜。
泥棒の疑いをかけられた国定忠治は、「ヤクザで荒くれ者だけど農民を助けた人物」と言われています。
座頭市も一応ヤクザなので忠治親分には恩義があって、会いに行くと、子分はだいぶ少なくなり、山に篭って静かに暮らしていました。
座頭市は剣術もすごいけど、立ち聞きのプロなので、情報を集め、忠治親分の無実を確認し、代官所に金があることに気づきます。
市は、村の娘に約束の場所に来るように言い、取り返した千両箱を渡します。ちょ...取り返した千両箱めっちゃ重そうだけど、最初、馬に運ばせるくらい重量があったものを、女の子一人に渡す?
本作では、座頭市と十四郎の対決も話題に。
十四郎は、勝新太郎の兄の城健三朗(若山富三郎の別名義)が演じています。
座頭市が人情派なのに対し、十四郎はねちねちした剣客です。
ムチを振り回して、時代劇らしくないキャラです。
代官所にいたはずの十四郎、市を馬で追ってきて馬の上からムチでバチバチ叩きます。
チャンバラじゃないんか...。
ムチで市を締め上げ、馬で引きずり回し、砂まみれの血まみれ。
最近の映画では馬に乗った状態のアクションは、
予算の関係であまり見られないので貴重です。
精巧なコンピュータ制御の馬も使います。
俳優の安全が第一だけど、メイキングを見てしまうとちょいと興ざめ。
極悪な悪党でもなく、強すぎる剣客でもない十四郎がなんかどうでもいいキャラな感じがしたけど、兄弟共演ということで注目されていたのでしょうか。
市は、砂まみれになりながら、十四郎を馬から引きずりおとし、正面から斬りつけ、完。
唐突に終わる完はお約束。
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