貧しい女性ボクサーがトレーナーと出会い、

見事成長するまでのストーリー。

ただのサクセスストーリーで終わらず、

家族の問題がからみ、内容が深い映画になっています。


家はなく、廃車になったトレーラーで育った後、

狭いアパートメントを借り、

31才までウエートレスをして

客の食べ残しを持ち帰る生活をするマギー。

ボクシングのレッスン代を払う余裕もないが、

必死でお金を貯めて

名トレーナー、フランキー(クリント・イーストウッド)に

弟子入りを申し込む。


アメリカ人はみな2階建の

プール付き屋敷に住んでいると思ったら

狭いアパートとかあるんだな。


貧乏だけど夢を諦めないマギーのタフさと

努力に心を打たれます。

ジムの練習生には

タイツをはいた“危険”

という名の貧弱な少年デンジャーや、

腕力はあるがハートが小さい男とか、個性が強い。

マギーがリングに上がるまでは

ジムでのやりとりが面白い。

あらすじと論争

クリント・イーストウッド監督は
アメリカンドリームを描きたかったようだが、
やっぱり重すぎる。
チャンピオンになったと思ったら、
怪我で半身不随、片足切断。
対戦相手の“青い熊”ビリーの反則も悪いが
マギーの家族はもっとひどすぎる。

青い熊は訳さずにブルーベアで良かったような?

ビリー役は、実際のプロボクサー
ルシア・ライカー選手が演じている。

娘が賞金を稼いで家を買ったら
「生活保護が打ち切られるから家なんていらないのに」と
喜びもしない母とか、
半身不随の娘の所にノコノコやってきて、
財産相続の書類を書かせる妹とか、
ろくな家族がいない。
そんな母親に家を買うなんて、なんて、いい子やマギーは!

マギーが試合前に着ていたガウンの背中に刺繍された
「モ・クシュラ」の文字は
おまえは私の鼓動だ(My pulse)を意味するゲール語の親愛表現である。

マギーの鼓動を止めてほしくなかった。
大半はそう思っただろう。
マギーのパパは言った。
「未熟児で、生を闘い抜いて生まれた子」。
だからこそ最後まで生きる希望を捨てないでいて欲しかった。
現役には戻れなくても。

キリスト教が大多数を占める国民、
障害者団体、
ボクシング団体の視点から見ると
また違った見方ができる。