南北分断の象徴である38度線上の共同警備区域(JSA)で起こった射殺事件。

生き残った南北の兵士たちは何故か互いに全く異なる陳述を繰り返した。

両国家の合意のもと、中立国監督委員会は責任捜査官として女性将校・ソフィーを派遣。

彼女は事件の当事者たちと面会を重ねながら徐々に事件の真相に迫っていく。

そこには全く予想外の「真実」が隠されていた……。


銃撃シーンから始まり、

回想なのか、想像なのか、冒頭の展開は非常にわかりにくい。


被害者2名は北の軍人。


北の言い分:

 南の兵士が突然入って来て銃を乱射した。


南の言い分:北に拉致された後、逃げ出した。

 撃ったのは正当防衛である。


↑この言い分を把握するのに2時間かかった。

陳述書の内容を回想シーンのように撮っているため、

拉致された人がなぜ突然悪人に?と場面転換の早さに戸惑う。


北の陳述書は、

北の将校(トミーズ雅似のソン・ガンホ)が

負傷してもうろうとしている時に、

勝手にでっち上げられた内容なので、

南の言い分と食い違っていたというわけだ。


冒頭の死体検証のシーン。

肌の色といい、肉の感じといい、

人形の作りが妙にリアルです。

死体なので全裸で台に寝かされているのですが、

大事なところがモザイクなしでアラララ。

イ・ヨンエ(チャングムさん)が

死体を前に淡々と捜査。

敏腕捜査官が美人すぎ。

彼女の清楚な容姿は、役と合わない。

ま、かなり男クサい映画なので、

男性ファンが楽しくないだろう、

という配慮のキャスティングかもしれない。


暗い映画にギャグを織り込むと

ワザとらしく感じるのですが、これは、旨いです。

爆笑とまでいかず、微笑ましいと思える段階で止めている。

大の男が「地雷ふんじゃった・・・助けて」と

敵に半ベソで訴えたりとか、本当なら笑い事じゃないんだけど、笑える。


北と南の軍人の間に友情が芽生えてしまう・・

というあり得ないお話。

そんな簡単に敵の小屋に入れるのか?


夜な夜な4人が集まって談笑していたところ、

外から北の軍人が突然入って来た!ヤバイ見つかった!

「敵軍とままごと遊びか?」と銃を向けられる。


どちらが先に撃つか緊迫した場面で

南のソンシク一等兵(キム・テウ)、

緊張のあまりおかしくなってしまったのか、

自分を兄貴と慕ってくれた北の軍人

ウジン(シン・ハギュン)に何発もブチ込む。

気弱そうな青年だったのに、

撃ち終わった後ニヤッと笑います。

こいつが一番こえーよ!


一番冷静だったのは北のトミーズ雅。

スヒョク兵長(ビョンホン)もまた、

冷静さを取り戻し、

トミーズの言う通りにします。


かわいそうだったのはウジンだな。少年のような素直さが印象的。

ソンシクはせっかく命拾いしたのに、やはり気が小さい男だったため、

悲しい運命をたどります。


捜査官として派遣されたイ・ヨンエは

結局解任されるんだけど、キャラクターに重みがない・・・。

何しに来たの?って感じがしなくもない。


兄弟愛・師弟愛・友情・愛国心を、お涙頂戴で誤摩化さず

真剣に描いた映画です。